自らの資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部の任意聴取を23日に受け、その直後に会見し、事件について初めて語った民主党の小沢一郎幹事長。だが、その説明には随所に不自然な点がみられた。わずか20分余りで一方的に打ち切られた会見。当初「政治献金」としていた問題の土地購入原資の説明は、その後「融資」に変わり、会見では「個人資金」に。こうした説明に象徴されるように、事件への疑問はいまだにほとんど解消されていないのだ。
[イラストで見る]だれがどんな役割? 陸山会をめぐる虚偽記載の構図 「(秘書寮建築のため)土地を購入することを決め、私の個人資金を陸山会に貸し付けたことが事実のすべて」
小沢氏は会見の冒頭、こう語り、ゼネコンからの裏献金の疑いがある陸山会が平成16年に購入した土地代金の原資について、自己資金であると強調した。報道陣には原資となった4億円の出どころについて書面を配布した。
それによると、(1)自宅を買い替えた際の残金で、元年に引き出した2億円(2)家族名義の口座から9年に引き出した3億円(3)同じく14年に引き出した6000万円−の計5億6000万円だったとし、これらを個人事務所の金庫に保管。土地購入時には4億数千万円が残っており、このうち4億円を貸し付けたと主張した。
■疑問(1)
《多額の資金を引き出し、手元で保管したのはなぜ?》
小沢氏側の関係者は、9年の引き出しについて「バブル崩壊で銀行破綻(はたん)が相次ぎ、ペイオフ(預金保護)解禁の論議が出たため」と説明するが、バブル絶頂の元年に引き出した理由は不明だ。
総務省統計によると、当時の定期預金金利は4%以上。2億円の預金で単純計算すると、利息は年間800万円に上り、5年間預けておけば4000万円以上の利息を受け取れたはずだが…。
小沢氏は問題となった土地以外にも、妻名義で2つの不動産を購入している。
登記簿によると、7年5月に自宅近くの秘書寮用地を購入。この際、土地と建物を担保に銀行から2億3500万円の融資を受け、利子を含め約2億6000万円を11年5月までに返済していた。
その3カ月後の8月には自宅隣地を購入し、土地と建物を担保に3億5000万円の融資を受けていた。19年3月までに返済したが、総額5000万円余りの利子を支払った計算になる。
■疑問(2)
《多額の手持ち資金がありながら、利息を上回る金利がかかる融資を受けて土地を購入したのはなぜ?》
小沢氏は、問題の土地購入時に4億数千万円が残っていたとするが、17年3〜5月にも小沢氏の資金4億円が陸山会の口座に入金され、すぐに同額が引き出されるという不自然な動きがあった。4億円を土地代金に充てたため、小沢氏の手持ち資金の残高は数千万円しか残っていないことになるが、17年の4億円についてはどう調達したのか。
もっとも不可解なのは、小沢氏側が当初、定期預金を担保に銀行から小沢氏の名義で受けた4億円の融資を土地代金に充てたとしながら、実際には「小沢氏が貸し付けた資金」で支払った後、関連政治団体から集めた約1億8000万円と陸山会の資金で4億円の定期預金を組み、不必要な融資を受けていたことだ。
■疑問(3)
《土地代金の原資として4億円を陸山会に貸し付けておきながら、さらに4億円の融資を受けたのはなぜ?》
小沢氏は融資書類に署名しながら「具体的な事務処理について関与していない」と説明。署名した理由については「以前に陸山会が不動産を購入した際にも金融機関から個人での借り入れを要請されたことがあり、秘書から頼まれて、そういう理由からと思って署名した」としている。
小沢氏は土地代金の原資4億円の貸し付け理由について「関連政治団体からかき集めれば何とかなるが、そうすると各団体の活動費がなくなるから」と説明した。しかし、実際には不必要な定期預金担保の融資を受けるために、1億8000万円の資金を各団体からかき集めていたようにも見えるが…。
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